【てくてくソール・ライター展】東京都渋谷区
日本では2015年に公開された、映画『写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと』は、美しくおだやかな95分間のものがたりで、斯くありたい。と思いつつ2年近く経ってBunkamuraで直に作品を見ることができました。
雨の降る金曜の夕方、少し肌寒いな、という心地のまま入場。金土は20:30まで入場可能。
壁づたいに、並ぶ作品を見る人が等間隔に歩を進める、時間と空気が停まったような不思議な空間に身を置いて、
「ここは柩の中のようなものだ」
だからヒンヤリとしていて、粛々と進んでいくんだな。でもなんか哀しくない。
と、頭に浮かんだ途端、この箱の中から出られないような出たくないような不思議な心持ちになって
ソファに座って会場を眺めたり、好きだなと思った作品に近づいて絵の中に写り込む自分の顔を見て照れたり、気に入った日本語と英単語の表現をメモしたり。
あっという間の90分間。
写真家がこの世から去っても作品は残って、時間が経って、異国の地で展示会をしたらその国の人たちが、1950年代のニューヨークで作品をつくりつづける1人の男性に恋をする。
世の中って、なんて自由なんだろう!
少なくとも会場のお客さんたちはときめいていると感じた。ライターさんに、被写体の女性に、ニューヨークの曇った空気に。
私は未現像のフィルムたちに心惹かれましたよ!